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【感想_0021】『もっとあなたの会社が90日で儲かる』/ 神田昌典

2024年1月30日

本のタイトル:あなたの会社が90日で儲かる

 
 
 
 

著者の紹介:

神田昌典
上智大学外国学部卒。大学3年次に外交官試験合格。大学4年次より外務省経済局に勤務。ニューヨーク大学経済学修士(MA)、ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営学習士(MBA)取得。多数の成功企業やベストセラー作家を育成し、総合ビジネス誌では「日本一のマーケッター」に選出されている。
 
 
 
 

Takeaways:

1. エモーショナルマーケティングの定義

エモーショナルマーケティングを一言で説明すると、お客の感情(エモーション)をあなたの味方につけるということだ。お客がものを買うということは理屈じゃない。お客は感情でものを買う。感情が動かされない限り、お客は財布を開かない。契約書に判を押さない。お客は感情で購買を決定し、そして理屈で正当化する
 
 

2. 客の種類と獲得ツールの違い

どの会社も①見込み客を集め、②既存客とし、③リピート客にすることが必要なのだが、ここでもう一つ重要なポイントがある。見込み客、既存客、リピート客は習性が全く異なり、それぞれを獲得するには、それぞれ別のツールを使うことになる。使うツールと獲得したい客を履き違えると、営業効率は極端に悪くなる。まず目の前に顧客を引っ張ってくるのに必要なスキルが「広告宣伝」。次に、目の前に来たお客に買ってもらうのに必要なスキルは「説得術」。
 
 

3. 売れる広告と売れない広告

広告には2種類ある。「売れる広告」と「売れない広告」である。
売れない広告とは、「イメージ広告」という。きれいな写真、価格は小さく、連絡先も小さく、というような広告はイメージ広告である。
それに対して売れる広告とは、「レスポンス広告」という。レスポンスとは反応という意味。つまり反応を得ることを目的とした広告。
売れる広告と売れない広告を分けるのは、オファーがあるかないかで決まる。オファーとは、無料ガイドブック、無料レポート、無料診断、無料学習体験、無料サンプル進呈、無料モニターなど。
なぜオファーが必要かと言うと、広告効果を計測するため。オファーがあることにより、お客からの反応があるのかないのか測定できる。反応があるという事は、「あなたの商品に興味があります」って手を挙げたという事。この広告掲載により、儲けることができるのかできないのかを、1円の単位まで計測することができる。
 
 

4. 自分のことを説明せず、相手側のメリットを説明する

反応が得られない自己満足広告と言うのは、次の方程式で説明できる。
自己満足広告=商品名+商品自慢(機能説明)+価格+連絡先
これを人間関係に例えると次のようになる。「俺は東大卒で、現在銀行に勤めていて、年収1,000万。良い男なんだから当然俺と結婚するよね。電話番号は〇〇〇〇」。あなたはこの男を選びますか?
一方反応率が得られる広告っていうのは、自分のことを説明するのではなく、相手側のメリットを説明する。自分のことを言いたいのはわかる。でもそれは我慢して相手が聞きたいこと言わなければならない。言いたいことを言うんじゃなくて聞きたいことを言う。先程の人間関係で例えると、「幸せな結婚生活、安定的な生活をあなただけに!東大卒だから安定的な生活をお約束します!年収1,000万なので、ワンランク上の人生を楽しむことができます!詳しい経歴書用意しています。請求はカンタンです。今すぐお電話で。なお先着10名様に限り」。
 
 

5. 階段の例

第1ステップ:広告による無料サンプルの提供
第2ステップ:サンプル請求書向けご優待価格の提示
第3ステップ:利益率が高い商品残提案
前著でもそうだが、広告代理店や経営コンサルタントを痛烈に批判している。私が意識的に敵を作ろうとしている事は理由がある。仮想の敵を作ることで、読者から共感が得やすいから。
 
 

6. 口コミの信憑性

口コミで売れていますと言われると私はまず疑ってかかる。なぜならこれらは多くの場合、ただの宣伝文句だから。ある会社の本部が「口コミで売れています」と宣伝すると、その商品を販売したい代理店や加盟店などが商品を仕入に来る。大体の場合、その本部は仕入に来た代理店や加盟店に卸すことで利益を得ている場合が多い。その後、代理店や加盟店は販売に苦労する。
そもそも口コミで売れているのであれば、友達に無料であげればいい。本当に口コミで売れているのであれば、その友達からネズミ算式に商品が売れていくはずである。

本当に口コミで売れる商品かどうかを判断する基準とは、「日常生活で話題にしたい商品かどうか」。口コミが効果的なのは日常会話でよく話題にする業界。例えば、レストラン、食品、旅行、ファッション、映画。これらは日常の話題にされやすいので口コミが起こる。さらには、医者、税理士、弁護士のように、業界の広告規制があり、どこで有料のサービスが受けられるのかわからない場合は、口コミが極めて力持つことになる。
反対に口コミが広がりにくい商品とは、話題にもしたくない商品である。例えばトイレ用品とか墓石とか。
 
 

7. ビジネスは掛け算であることを認識する。

新規顧客の獲得 = ①見込み客を集める知識 × ②成約するための知識 × ➂商品品質・サービス・顧客満足

ほとんどの学校で教えるのは➂のみ。市場分析、競合分析、戦略立案などで➂を導く戦略を考える。また経営の仕方も多少教えるかもしれない。しかしその経営というのは、要するに経理の簡単な説明、財務諸表の構成や○○率など。それらは顧客を獲得した後の管理する数字で合って、①と②には直接的に関係はない。
 
 

8. エモーショナルマーケティングのよくある間違い ①いきなり人生を語ってしまう

俺はこの商品にすごい思い入れがある。お客様は感情で購入を決めるのであれば、俺の熱い情熱を伝えればいいんだと思い、いきなり熱い思いのこもった文章を書いてしまう。例えば、いきなり人生を語ってしまう。ところがあなたの生い立ちに興味があるのは、残念ながら自分と自分の奥さんだけ。まぁ奥さんもほとんど興味を持っていないだろうから、お客に至ってはでも全然面白くない。

では、お客や興味を関心を持っているのは何か。それはお客さん自身のこと。お客は自分にしか興味がない。だから、自分はこうだと言っている限り、お客は集まらない。いつもお客様を主語に持ってくる必要がある。

そこであなたを主語に持ってくる文章考える。「あなた」が主語になるメッセージを伝えたとき、初めてお客は反応する
 
 

9. エモーショナルマーケティングのよくある間違い ②教科書的でわかりにくい

マーケティングの最大の罪は分かりにくいということ。お客は専門家じゃない。あなたの商品の事は普段考えない。だから徹底的に分かりやすくしないと、関心すら払わない。文章が固い、難しい言葉が多い、専門用語が多い、文章が長い等、どれも反応落とす原因になる。私はこのような文章のことを「教科書的」と読んでいる。教科書は事実を正しく伝えることが目的。でもマーケティングは人行動させることが目的。行動させるためには、教科書的なメッセージを致命的となる。

行動させるには、「小学生でもわかる言葉」を使わないといけない。ところが頭の良い人は、事実に正確に説明しようとすると、説明が馬鹿丁寧になる。クレームを避けるために、差し障りのないことだけを伝える。もちろん事実に嘘がないのは必要条件だが、100%正確な事実だけを並べても、相手の感情は動かせない。お客へのメッセージは教科書でないことが重要。

友達に手紙を書いているように書く。話し言葉で書く。そうすると、お客の方から親近感を持ってくれる
 
 

10. エモーショナルマーケティングのよくある間違い ➂小手先だけを真似する。

前作で、「新聞で広告を出した時、縦書きの方が横書きより反応が良かった」という話をした。すると何が何でも縦書きにすれば反応が良くなると単純に発想する人が出てくる。私が「ピンクだ」と言えば、その人はピンクのチラシを作るだろう。ただそのチラシを配るエリアのほとんどのチラシがピンクだったら差別化できないので意味がない。

つまり小手先の技術として考えるのではなく、自分の置かれた状況把握することが重要。小手先の技術は真似したくなる。でも表面だけ真似すると失敗する可能性が高い。だから、うまくいった会社のチラシやダイレクトメールをそのまま真似れればいいではない。それはただのパクリ。お客様は第六感であなたの不誠実さに気付く。頭に汗をかきましょう。その努力の結果、思い通りにお客が動くようになる。
 
 

11. やる時は、やる。

あるアパレル店では、新入社員が入社すると、お客様に失礼がないように「いらっしゃいませ」を言う様に教え込まれるらしい。しかし、お客が売り場に入った途端に「いらっしゃいませ」と言われるのは、ライオンが檻から飛び出してくるようなもの。そりゃお客は逃げ出すでしょう。だからと言って「いらっしゃいませ」を言わないようにすると、「この店は態度が悪い」と言われる。

営業マンも似た罪を犯す。「営業マンはお客に嫌われている。だから営業マンはお客に電話してはいけないとか」、「お客様から電話がかかってくるようにしなくちゃいけない」と思い込んでしまう。しかし、これではあまりにも紳士的すぎる。数多くのライバルがそのお客さんにガンガン営業攻撃をしているにもかかわらず、あなたはせっかく「あなたの会社に興味がある」と言ってくれた人を放っている。非常に下衆な例えで恐縮だけど、女の子がわざわざ自分のアパートにあなたを呼んでくれたにもかかわらず、あなたは部屋であなたの恋愛論を語っているようなもの。

重要なのは、距離を置いて紳士的に振る舞いなさいということではない。顧客の感情に沿った段階を考えましょうということ。1度手を挙げてもらったときには、既に相手はあなたに興味あると言っている訳であり、二度、三度と繰り返し手を挙げてもらう必要は無い。「やる時は、やる。」それがセールスの極意。
 
 

12. 行動の源泉は思考であり、思考は言葉で行われる

言葉の選択次第でビジネスが成功するかどうか決まることもある。なぜそのような影響力があるのか、
そもそも人間の行動の源泉となっているのが思考。またその思考は言葉で行われている。つまり言葉→思考→行動と言う流れになっている。マーケターの役割としては、行動を変えたいわけ。広告に反応するような行動を起こしたい。すると、行動を変えるにはまず思考を変えないといけない。そしてその思考のベースになっている言葉を新しい言葉に置き換える必要がある。

ただし問題は、人はどういう時に思考のベースになっている言葉を変えるかだ。そのきっかけとなるのが、認知的不協和であり、わざとバランスを崩す工夫をしなくちゃならない。バランスが取れているから、違和感がなく何も起こらない。でもバランスを崩すことで、違和感が起き、言葉が置き換わるり、別の思考が起こる。そして初めて行動へのエネルギーが生まれる。
 
 

13. 顧客と感情的な結びつきを強める

顧客ロイヤリティーの低下を防ぐためには、経済的なメリットだけじゃ浮気をされてしまう。ライバルが特売したり、ポイントを付与することをすれば、客はそっちに流れる。だから、感情的な結びつきを強めなくてはいけない。
 
 
 
 

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