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【感想_0020】『あなたの会社が90日で儲かる』/ 神田昌典

本のタイトル:あなたの会社が90日で儲かる

 
 
 
 

著者の紹介:

神田昌典
上智大学外国学部卒。大学3年次に外交官試験合格。大学4年次より外務省経済局に勤務。ニューヨーク大学経済学修士(MA)、ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営学習士(MBA)取得。多数の成功企業やベストセラー作家を育成し、総合ビジネス誌では「日本一のマーケッター」に選出されている。
 
 
 
 

Takeaways:

1. 悪徳業者が儲かる理由

真面目に働くことと、儲かる事は相関関係は無い。残念なことではあるが真面目にやっても潰れることがある。

これは悪徳業者が儲かる理由を考えるとよくわかる。悪徳業者は品質の悪い商品を売っている。だから、黙っていたらいつになってもお客さんは来ない。お客さんが来ないから、どうすれば売れるのかについて真剣に考える。どういう広告を出せば、どういう誘い方をすれば、どういう仕組みにすれば、どうすれば自分は楽することができるのかなど、徹底的に売り方を工夫しているのである。

ところが正直者は商品が良いもんだから、売り方を真剣に勉強せず、商品が良ければ自動的に売れると思っている。さらに、根が真面目だから楽しようと思わない。
 
 

2. 新しい発想を根付かせるイメージ

新しい発想を根付かせるにはどうすればいいのか、まず字でいっぱいになった黒板を想像してほしい。この黒板に字を書いても、何が何だかさっぱりわからんだろう。新しい字を書くためには黒板消しで今までの字を消すことから始めなければならない。
 
 

3. 正直者が失敗する理由

1. そもそもの商品が悪い(成熟商品)
2. 安ければ売れると思っている(割引以外に売る工夫をしない)
3. がんばって売り込もうとする(提案などの従来の営業を頑張る)
 
 

4. 価値には2通りある。「絶対的な価値」と「お客が感じる価値」

1. 絶対的な価値:値札に書かれた価格。
2. お客が感じる価値:これはお得だとか、これを買ったら損するわと言う価値観のこと
 
 

5. お客が感じる価値を高める方法

1. 割引よりも無料 (〇〇%オフ よりも Buy one get one free)
2. おまけ商品をつける (テレビ通販がいい例)
 
 

6. 売り込むタイミングの重要性

一般的に営業は、お客が欲しいと思う感情が起こる前に提案し売り込みをかける。すると、お客の側には途端に不敗心理が起こる。できるだけあなたの話を聞かないようにする。お客にとって営業マンは害虫である。だから早くその場所から立ち去ろうとする。
 
ところがお客側に欲しいと思う感情があった場合、全く逆になる。営業マンは何でも親切に教えてくれる幸福をもたらす天使となる。売り込むタイミングを少し間違えただけで、全く違う人間関係を築いてしまうのである。
 
 

7. 出来る営業マンの特徴 = しゃべらない

できる営業マンを分析していくと共通する特徴がある。ほとんど例外なくしゃべらないのである。

実はこれには秘密がある。「どんな商品が欲しい」、「こんなことで困っている」、「価格はこのぐらい」、とお客の方から話をさせる。この方が成約率は高くなる。理由は、お客は喋ってるうちに、その商品が欲しいという感情が生まれてくる。つまり自己説得をしてしまうのである。
 
 

8. 断ることで欲しがられる① (希少性のルール)

私は無料で人に会ってはいけない。無料でアドバイスをしてはいけないという掟を作った。
この掟を守ると信じられないことが起こり出した。仕事が殺到したのである。仕事を断ると、仕事が舞い込む。クライアントとしては1度断られると、感情的にどうしてもあの先生に相談に乗ってもらいたいという気持ちが起こるらしい。

これを心理学で希少性のルールと言う。要するに手に入りにくいものは欲しくなると言う法則だ。
 
 

9. 断ることで欲しがられる② (不平等条約を結ばない)

営業マンの仕事は気に入られることではない。営業マンの仕事は売ることである。

ある商談の際、商談がうまくいかず、私の売ろうとしている商品が、なぜ日本では売れないのかと言う理由を1時間近く聞かされたことがある。相手は全く取引に興味がなさそうだったので、商談ノートを閉じ、あからさまに帰る準備をした。その時、相手の態度が急変した。「俺ばっかり話したけどあんたの話も聞こうじゃないの。何しにきたの?」そこで私は説明した。「関西地区の有力量販店の中から戦略パートナーを1社に限り探しています。ご関心ありますか?」すると「興味がある」と回答があった。

立場が弱い商談の場合でも、断ることにより商談の流れを優位に持ってくることができるのである。ところが相手に気に入られることが営業の鉄則のように思われている。そこで正直者はお客様に好かれようとするあまりにへぇへぇとする。

それが「お客は神様、私は奴隷」と言う関係を作ってしまう。これは逆効果である。なぜなら、そういう関係を作ってしまうと、何でもやって当たり前という甘えを、お客に許してしまうからである(不平等条約)
 
 

10. 商品を売る前に自分を売る → 安心感や親近感 → 「この人から買えば大丈夫だ」

一見感情を動かす事は難しそうに聞こえる。しかし意外なことにお客の感情と言うのは、メカニカルな動きをすることがわかる。あるスイッチを押せば、お客は機械のように予想された行動を取る。

1つの例として「人間関係を売る」というテクニックがある。やり方は、「商品を売る前に自分を売る」。さらには会社の姿勢やこだわりを売る。スマートさは無い。逆に人間臭さを前面に出す。商品以前に「安心」や「親近感」を売らなければならない。

お客は欲しいと言う感情が生まれたときに、初めて商品説明を求める。悪徳業者が儲ける理由は、商品を売る前に人間関係を売るからである。悪徳業者は商品の話はできない。品質が悪いのがばれる。そこで商品を売る代わりに、まずは自分を信用させることに注力する。「この人から買う商品だったら大丈夫だ」と、まず自分を信用させるのである。

商品を売る以前に自分を売る。お客の感情無視して自分よがりになると、営業マンでもチラシでも反応が急に低くなる。
 
 

11. コンサルタントの欠点

超一流コンサルティング会社に勤務していたコンサルタントが数年前に起業した。
インターネット関連の事業始めるとの事。市場調査、マーケティング戦略、財務計画、キャッシュフロー分析、リスク管理、仲間集め、事務所を設け、商品開発を行い、会社案内を作った。
しかし一向にお客を集まらない。片っ端から営業電話をかけ始めたが契約に至らない。アポも取れない。こんな状況で半年後には会社を解散した。

いわゆる経営コンサルタントのスキルはこの程度。どんな一流会社のコンサルタントであっても、自分で事業をやるときは素人と変わりない。コンサルタントと言うのは、自分でお客を捕まえる知識をほとんど持っていない。1度捕まえた客に対して、あの手この手と契約を引き延ばす能力はすごい。しかし新規クライアントを見つけられる能力を持つコンサルタントというのは極めて少ない。

大手コンサルティング会社と交渉すると、契約までは極めて優秀なトップのコンサルタントが出てくる。契約後、実務をやるのは入社後2~3年の若手コンサルタント。分析能力はあるけど、実務経験がほとんどない。クライアントの実務の人にいろいろ聞きまくる。その結果をまとめて報告する。そして、何百万を請求する。
 
 

12. MBAは建前。企業の本音は「無から有を作り出すこと」

実は私はビジネスウィークスのランキングで全米第一ウォートンスクールのMBAを持っている。だから本音を言う権利があると思うけど、MBAはやんなっちゃうほど役に立たない。
現実のビジネスについては全く無力。これ本当。かっこいいイメージがあるから女の子にモテるようになるかもしれない。しかしどうひっくり返しても、それ以上のメリットはない。

MBAが役に立たない理由は、スクールでは既存の事業を分析・管理することは教えてくれても、新規事業を立ち上げるスキルについては、ほとんど教えないからである。
ビジネススクールのアプローチは、まず市場分析(市場、規模、成長、率、市場、浸透率等)で基本的なデータを集める。次は競合分析(ライバル会社の戦略、市場シェア、強みと弱み等)を行う。
次に調べたデータをきれいなチャートに落とす。最後に自社の事業戦略を練る。極めて単純化したが、これがビジネススクールで教えるアプローチ。実に理知的な進め方である。

しかし大きな落とし穴がある。それは事業には本音と建前があると言うことだ。
建前上は事業戦略が重要。しかし企業の本音は「お金をかけないで、どうやって最大限の利益を得るか」。極端なことを言えば、「無から有を作り出すこと」が求められている。こんな都合の良いことを考えているのが現実のビジネス。
 
 

13. 一体ビジネスって何?

ビジネスの定義は次のプロセスを継続的に行うことである。

  • 見込み客を費用効果的に集める
  • その見込み客を成約して既存客にする
  • 既存客に繰り返し買ってもらい固定客にする

つまりビジネスとは、見込み客を費用効果的に集め、成約し、繰り返し買ってもらうプロセスである。問題は、このプロセスに必要な能力を学校で学べるかどうかだ。
 
 
まず1について、費用効果的に見込み客を集めるに必要なものとは何か。
商品品質、サービスレベル、顧客満足(CS)を上げること、どれも違う。「広告宣伝のスキル」が必要なのだ。具体的には、新聞雑誌、テレビ、広告、チラシ、ダイレクトメール、テレマーケティング等の媒体を活用して、「いかに安く、多くの見込み客を見つけてくるか」という能力になる。そもそもお客(既存客)を増やすには見込み客を増やさなければならない。つまりすべての原点は「見込み客を集める活動」にあることがわかる。

見込み客を集めること、これほど重要なスキルをビジネススクールではどれくらい教えているだろうか。ゼロである。ハーバードビジネススクールでもスタンフォードビジネススクールでもほとんど教えられる事は無い。
 
 
次に2について、見込み客を成約するにはどういう能力を学ぶ必要があるか。セールストークや接客術が大事になる。
どういうトークや接客をすれば成約できるのか、どういう順番で商品を紹介すれば単価の高い買い物してくれるか等のスキルだ。これは売り上げに直結する重要な能力である。そしてセールストークや接客術をビジネススクールでどれだけ教えているのか。これもゼロだ。1秒たりとも教えていない。
 
 
最後に3について、既存客にリピート購買してもらうためには何が必要か。実はここで初めて、商品品質、サービスレベル、顧客満足(CS)を上げることが重要になる。
商品品質というのは、購入後商品を使ってみないと分からない。つまり商品品質を体験できるのは購入済みのお客(=成約後)だけになる。その結果、商品品質、サービス、顧客満足(CS)は、成約後にお客の流出を食い止める役割を果たすが、成約には何の直接的な影響を与えない。そして商品品質、サービス、顧客満足(CS)をビジネススクールでどのくらい教えているのか。これは結構やっている。どうやって商品品質、サービスを差別化するのか、顧客満足度分析の手法を学ぶ。
 
 
結論を言うと、ビジネススクールで学ぶのは調査・分析・戦略構築。それがほぼ99%。見込み客を集めたり、成約させるような泥臭い作業は現場の者に任せるから勉強しなくても良いという考えなのである。

しかし現実問題として、ビジネスの入り口(=成約)を無視して、調査・分析だけで食っていける会社は無い。トヨタであってもソニーであっても小さなラーメン屋であっても、継続的に新規顧客が獲得できなければ必ず潰れる。それだけお客様を集めるというのは極めて本質的なことなのである。

お客を集めると言うのは、実に単純に聞こえるが、これが1番難しい。ビジネススクールでは、顧客ニーズに合った商品を、適正価格帯で、適切な戦略をとれば、自然と客は集まると思っている。しかし、現実では客が集まらなければ、何の手も打てない。客が集まって初めて、お客の本当のニーズが分かる。そして商品改良もできる。そうして初めてビジネスは前循環に入るのである。

だから何が何でも「客を集める能力」を身に付けなくてはならない。そしてこの能力を身に付けた時、間違いなくあなたの収入は比較的にアップする。
 
 

14. ○ お客を集める → 商品提供 / ✕ 商品提供 → お客を集める

お客がいればビジネスは立ち上がる。金がなくても、商品がなくても、人がいなくても何とかなる。ところがこの順番を逆にしてしまうと全く立ち上がらない。

多くの会社が失敗するのはこの順番が逆だからだ。まず売れそうな商品を仕入れ、その商品を買ってくれるお客を探す。多くの会社はここで的が外れる。現実には売れない在庫になる。在庫処分するために営業マンの時間が取られる。売れない商品だから営業マンが売る気を失う。これでは失敗への一直線である。
あなたも新規事業立ち上げるのであれば、まずお客を集めてほしい。お客を集めて、お客の欲しい商品を聞き、その商品を提供する。そうすれば事業リスクは極めて低い。投資はほとんど必要ない。
 
 

15. ケーススタディ (P116)

あなたはどちらの広告が電話の数が多いと思われるだろうか。同じ商品を販売する広告であっても、表現の違いだけで、お客からの電話の数が10倍も違うのである。これがエモーショナルマーケティングのパワーである。
 
 

16. 生物の行動要因は2つのみ。「1.快楽を求める」、「2.苦痛から逃れる」

実は、地球上のすべての生物は、次の場合に行動を起こす。「1.快楽を求める」「2.苦痛から逃れる」。

またすべての生物は、「快楽を求める」よりは、「苦痛から逃れる」方が、よりつい行動要因になるのである。

広告1は割引を前面に出している。割引は、お得な買い物ができるという「快楽を求める」側面を強調している。ところが、広告2は、まだ無駄金を使いますかという「苦痛から逃れる」側面を強調しているのだ。
 
 

17. 文章が長くなっても、必要な情報は入れる

情報が足りない場合は、人間はリスクを先に感じて行動を起こすことができない。

例えば、あなたが会ったこともない3人の女性のうち1人と結婚しなければならないとする。そのうち2人は趣味と経歴が簡単に書いてある手紙をくれた。残り1人はノートをくれた。そこには細かく自分の生い立ち、好きな時間の過ごし方、起床時間、就寝時間、どんな結婚生活が望みか、子供は何人欲しいか等が書かれていた。

さて、あなたはどの女性をパートナー選ぶだろうか?通常であれば3人目の女性を選ぶ。
理由は、他の2人は情報不足のため選択するにはリスクが高いからである。多くの会社のダイレクトメールが失敗するのは、初めの2人の女性と同じ間違いをしているからだ。「お客様は忙しいんだから、できるだけ簡潔な文にしないと、誰も読むはずがない」と会社では教えられている。

これは間違えた教えである。面白ければ長くても読む。そして誰が読むかと言うと、そもそもこの商品に興味のある客が読むのである。元から興味のない客はダイレクトメールだと分かった途端に捨てるのだから、相手にする必要は無い。長い文章を読む客が興味のある客なのだ。
だから、文章が長くなったとしても、必要な情報はダイレクトメールに入れる必要がある。
 
 

18. マーケティングの行きつく先。「いかにお客の心を掴み、感情的なつながりを持てるか」

様々なマーケティング方法論があったとしても、結果を出すためには、最終的に行き着く場所が1つだけある。それはいかにお客の心をつかむか、いかにお客と感情的なつながりを持つことができるかということである。そしてこの最終関門を突破しないことには、絶対に成約にはつながらない。
 
 

19. 人は自己実現ができるかもしれないという体験を買っている。商品ではない。

以前インターネットショップでアパレル展開を行う会社があった。
ホームページを見るとブラウスやセーターやらが並び、値段と仕様が表示される。「1万9800円。ウール100%」 誰が買いたくなるんだろうか?

この会社の致命的な間違いは、人は商品を買っていると思い込んでいることである。

人は商品を買うのではない。ショッピングと言う体験を買っているのである。
つまり、その服を着た自分を想像する。そしてそういう自分になりたいと言う感情が刺激される。その自己実現ができるかもしれないという体験を買っているのだ。

ホームページ上でく並べられた商品や値段と仕様が表示されていても、上記のような自分を想像できない。全く消費欲求が起こらないのである。
 
 

20. 成約には設計図が必要

エモーショナルマーケティングとは、あなたがお客様を探すのではなく、お客様があなたを探す方法だ。

その非常識を実現するには設計図が必要だ。
顧客があなたの商品を買うためには、あなたのもとにたどり着く階段を上ってもらわなければならない。
あなたが降りていって説得しようとすると、お客は怖がりドアを閉めて逃げてしまう。そこであなたはじっとお客が階段を上ってくるのを見守るわけである。
この階段がデコボコしていたら、客は途中で引き返してしまう。しかしこの階段がスムーズであり、また一歩一歩登るためのインセンティブがあれば、お客は自らの力で登ってくることができる。
つまりあなたが営業努力をしなくても、お客は自発的に成約まで進んでくるのである。あなたの会社が高収益企業に変身していくためには、この道筋を設計する必要がある。
 
 

21. お客を導くための設計図の3大ポイント

1. 広告宣伝では、商品を販売する(いますぐ客向け)のではなく、興味のある人(そのうち客向け)を集めることを徹底する
○ そのうち客を集めるメリット1:そのうち客には、ライバル会社が群がっていない
○ そのうち客を集めるメリット2:そのうち客を集めることができれば、同時に、いますぐ客も集まっている可能性が高く、集客費用が安い(釣りの例:「一本釣りで"いますぐ客"を釣る」よりも「投網で"いますぐ客"と"そのうち客"をまとめて捕まえる」)
○ そのうち客を集めるメリット3:「そのうち客」は「いますぐ客」に育っていく
2. お客に手を挙げてもらい、自分を専門家として位置づける
3. お客が成約に至るまでの階段を用意する
 
 

22. 1と2の詳細 (①無料で警戒を緩める) (②客との関係を根本的に変える)

そのうち客を集める方法は、「情報ツール」である。
情報ツールとは、無料で提供するガイドブック、パンフレット、動画などの情報のこと。要するに、お客は売り込みをかけられることを警戒しているのだから、タダで情報を入手できる仕組みを作ってあげれば損が発生せず警戒が緩むのである。(①無料で警戒を緩める)
 
 
さらに、この情報ツールを活用すれば、あなたとお客との関係に根本的な違いを生じさせる。
情報ツールを提供せず、あなたとお客様が接触した場合、その人間関係は「売り込む営業マン」と「売り込まれるお客」の関係である。それは敵対関係なのである。敵対関係であるから、お客は本心を言わない。買うつもりがあっても決して買う素振りを見せない。そしてあなたの見えないところでライバル会社に声をかける。

要するに、あなたはお客さんに「買ってください」と懇願する下の立場。そしてお客は「買ってあげる」と言う上の立場である。
 
 
それに対して情報ツールを提供した場合、当初からお客との人間関係が全く異なる。
お客さんはあなたを専門家として位置付ける訳である。あなたは「ご希望の方にこの提供します」という立場。一方お客は「資料を送ってほしい」と依頼する下の立場。

このようにお客さんに手を挙げてもらえば、その後のセールスのスムーズさが違う。あなたが十分な商品知識を持っていれば、「〇〇さんから買おう」と専門として信頼されることとなる。

つまりお客さんとの位置づけを冒頭に間違えなければ、後は自動的に成約していくわけである。逆に「売り込む営業マン」と一度認識されてしまったら、一気にセールは難しくなる。(②客との関係を根本的に変える)
 
 

23. 3の詳細 (事例)

ステップ3のお客が制約に至るまでの階段を用意するとは、お客が心理的抵抗なしに受け入れることができる。低価格のサービスを提案すれば良い。
 
 

24. ニーズ・ウォンツ分析法

「この商品はニーズ(必要性)があるから成功するよ」とよく言われる。しかし、ニーズがあるからと言う理由で商品を売るとまず失敗する。
残念ながら人間はニーズだけでは商品を買わない。ウォンツ(欲求)がないと、購買に向かわないのである。

そのニーズとウォンツをチャートにすると売れる切り口が発見しやすい。歯医者とロレックスの例で、このチャートの使い方を説明する。

まず歯医者の場合、歯医者に定期新検診に行かなければならないというニーズはある。しかし定期検診に行きたいと言うウォンツは無い。つまり224ページのチャートでは、左上のボックスに位置する。
行動を起こさせるためには、ニーズもウォンツも高い場所、すなわち右上のボックスにいる必要がある。歯医者の場合は、左上から右上のボックスに移動する戦略(ウォンツを作る)を考えなければならない。ウォンツ(欲求)は「①快楽を求める」と「②苦痛から逃れる」の2種類ある事を以前説明した。

方法としては、定期的に行くと歯が白く保たれ、きれいになれるという面を切り口にすることで、きれいになりたいという欲求(①快楽を求める)を活用する。

もう一つの方法としては、今は痛くないけど、痛くなる兆候があるということを明確に伝える(②苦痛から逃れる)こと。この2つの面を強調することにより、右上のボックスに移動し始める。
 
 
次に歯医者の例とは逆に、ウォンツがあるがニーズはないというロレックスを見てみよう。
ロレックスに関しては、ウォンツはあるがンーズがないため、なかなか購入されない。つまりこの商品は右下のボックスに位置している。この商品を売れるようにするためには、右下から右上のボックスに移動させる戦略を取る。そのためには、ニーズを強調する切り口を考えれば良い。

例えば、「ロレックスの時計は資産価値がある」、「ロレックスをしていないと仕事に差し障りがある」と言うような面を打ち出せば良い。

このように売り方の切り口を見つける場合は、「こうすれば売れるんじゃないか」と感覚的にやると失敗する。消費者の感情を多面的に見ることによって、確実性が高まるのである
 
 

25. お客の反応を誘発する3つのポイント。

1. 認知的不協和
○ 人間はバランスが崩れている方が注意を引く。「なんじゃこれ」と言う反応を起こす。感情のバランスが崩れると、そのバランスを直さずにはいられない。
○ 例:商品の第一印象で「なんじゃこれ」 → 手に取って見てみる
2. 緊急性
○ 期限や希少性がある場合、今すぐ行動する必要があると思わせることができ、後回しにしなくなる
○ 例:期限がある or 個数限定 → 早くしないと手に入らなくなる
3. 解毒剤
○ 認知不協和や緊急性により感情がバランスが崩れた状態の人間に対し、明確な指示(=解毒剤)を出すことにより感情を安定させる
○ 例:○○までに○○してください → 考える必要がなく楽に上記1,2が解消できる
 
 
 
 

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