本のタイトル:最強の不動産投資法
著者の紹介:
河津桜生:
1975年生まれ。慶応大卒業後、大手都市銀行で不動産融資を担当し、自身も不動産投資を行う。順調に会社員生活を歩む中、2008年にリーマンショックを経験。同僚などが職場を追われる姿を目の当たりにし、給与収入に代わる新たな収入源を模索する中、不動産投資に出会う。毎月1棟ペースで購入し、2020年時に86物件、購入総額84.3億円、融資で購入した物件65件、うちフルローン率54.7%。
本の全体像:
本のタイトルは「最強の不動産投資法」とされているものの、全体的な内容は、不動産投資を行う際の融資を受けるためのノウハウ(正攻法や裏技など)を、銀行の融資担当者目線で紹介。
Takeaways:
1. 不正融資問題
不動産投資を取り巻く「闇」、不正融資問題を知っているか。不動産融資問題とは、不正な手法で銀行融資を受けること。この不正融資は、主に不動産投資を行うサラリーマン投資家に向けて行われていた。種類としては、「借り手の預金などの情報を改ざんする」や「物件の評価を改ざんする」など。スルガ銀行を舞台にして起こった事件は、まさにこれが当てはまる。
2. スルガショックとは
2018年に発覚したスルガ不正融資問題は「スルガショック」ともいわれている。新築シェアハウス「かぼちゃの馬車」の運営会社であるスマートデイズ社の破綻をきっかけに、スルガ銀行の不適切な行いが発覚した。一言でいうと「クリーンなはずの銀行が悪に手を染めていた」ということ。前述の改ざん行為を銀行員、不動産業者、投資家が結託して不正行為を行っていた。
3. 不正融資の手口例
- エビデンス改ざん:自分の資産を実際よりも多く見せる。(銀行口座の桁を粉飾)
- カーテンスキーム:レントロールを改ざんし満室に見せ、銀行員が現場を確認しに来る際に、各部屋にカーテンをつけて、入居者がいるように見せかける
- 二重売買契約スキーム:売買契約書を2通り作成し、売主と買主の間の本物の契約書と、銀行に提出する契約書は多めに金額を記載したものを作成し、融資額を増やす。
- 同時決済スキーム:個人の場合、融資の債務額などの信用情報は、JICCやICCといった機関に登録されるものの、登録までに2~3週間のラグがある。そのため、同時に複数の金融機関に融資相談を行うことで、銀行同士は個人の融資債務額を把握することなく、融資を引くことができる
- 多法人スキーム:法人の場合、1法人ご1物件で融資を引くことで、銀行は各法人の融資状況を把握できないため、債務総計を把握されないまま融資を引くことができる
- エビデンス改ざん:自分の資産を実際よりも多く見せる。(銀行口座の桁を粉飾)
- カーテンスキーム:レントロールを改ざんし満室に見せ、銀行員が現場を確認しに来る際に、各部屋にカーテンをつけて、入居者がいるように見せかける
- 二重売買契約スキーム:売買契約書を2通り作成し、売主と買主の間の本物の契約書と、銀行に提出する契約書は多めに金額を記載したものを作成し、融資額を増やす。
- 同時決済スキーム:個人の場合、融資の債務額などの信用情報は、JICCやICCといった機関に登録されるものの、登録までに2~3週間のラグがある。そのため、同時に複数の金融機関に融資相談を行うことで、銀行同士は個人の融資債務額を把握することなく、融資を引くことができる
- 多法人スキーム:法人の場合、1法人ご1物件で融資を引くことで、銀行は各法人の融資状況を把握できないため、債務総計を把握されないまま融資を引くことができる
4. 初心者でも融資を受けるには
不動産業者の言いなりになったり、物件の詳細を把握しない状態では、融資は難しい。初心者の人はまず買おうと検討している物件の強みや弱みを整理し、申し込みの段階で自分自身の理解と言葉で説明する必要がある。既に1物件購入していたり、あるいは売却経験があったり、自分自身に賃貸業者の能力があることをアピールしつつ、今後買う物件がどういう特徴があるのかを自分の言葉で語ることが大切。業者の持ち込み案件は一切審査しないという金融機関もあり、オーナー側が何も知らない状態で不動産業者主導の融資は、今後は難しい。
5. 自己資金
業者に頼らないという意味では、まず自己資金をきちんと出すことがポイント。金融機関は「自己資金」を重視する。最低でも1割、多ければ3割を求められる。最も多いのが自己資金2割。
6. 金融機関の開拓は「紹介」が基本
基本的に、全く知らない人にお金を貸さないのと同様で、金融機関は基本的に紹介以外では融資の案内は行わない。先輩大家や力のある不動産会社などから取引のある金融機関を紹介してもらうことが有効。
7. 初めの1歩としておすすめの「保証協会」
信用保証協会は中小企業、小規模事業者の金融円滑化のために設立された公的機関。事業者が金融機関から事業資金を調達する際に、信用保証協会は「信用保証」を通じて資金サポートを行う。保証協会融資の申し込みは、最寄りの信金から可能。
8. 融資相談の際には、未来のビジョンを語る
物件の運営方針、リスク、現在の会社の状況、5年先くらいの事業計画など、自分の言葉でしっかりと言語化を行う。
9. 住宅ローンの不正利用
住宅ローン(=フラット35)は1人に付き3つまで組むことができる。自宅用、親族居住用、セカンドハウス用。自宅用では住民票を移して住んでいるふりをしながら貸出を行う。親族用だと「弟が住んでいる」、セカンドハウス用だと「休日だけ自分が使う」などと言っておきながら、実際には賃貸に出しているケースが多い。バレると住宅ローンは一括弁済などの契約違反になる。
10. 不動産投資は買うときに8割勝負が決まっている
11. 1棟目から成功を求めない
不動産投資では1棟目でいきなり成功している人は少なく、そこから模索して自分なりのスタイルを気付く人が多い。そのため、1棟目で完全な成功を収められるとは考えずに、まずは1棟目を買ってみることをお勧めする。