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【感想_0007】『世界一やさしい不動産投資の教科書』/ 浅井佐知子

本のタイトル:世界一やさしい不動産投資の教科書

 
 
 
 

著者の紹介:

浅井佐知子:
不動産鑑定士。三井ホームエステートで10年間法人営業(土地活用)を担当。不動産鑑定士の資格を持った不動産コンサルタントとして実績が豊富。
 
 
 
 

本の全体像:

不動産投資をどこから始めたらいいか分からない、大家の本をいくつか読んだけど、結局分からず行動できないなどの悩みを持つ方向けに、物件の選び方から購入、資金管理までを一人でできるようになるために、一過性の本ではなく、不動産を購入するときの辞書代わりになるような本というコンセプトで記載されている。
実際に読んだ感想としても、他の本にはないような、物件選定や、失敗しないための細かなノウハウなどが記載されており、初心者が気になる点が多く記載されているという印象だった。
 
 
 
 

Takeaways:

1. REITの定義

証券取引所に上場している不動産投資信託が、多くの投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設、マンションなど、複数の不動産を購入し、その賃貸収入や売却益を投資家に分配する商品。
 
 

2. 不動産投資の基本はインカムゲインを狙う事

不動産投資は、何よりもインカムゲインで稼ぐことが基本。キャピタルゲインはいい不動産を安く買えば、売却時に利益が出るが、これはあくまでもボーナスであることを忘れない。はじめからキャピタルゲインを狙って買うのは、プロの投資家でも難しいので、しっかりと家賃収入の取れる物件を探すことが基本。売却時に高く売れたら「ラッキー」位の気持ちでいい。
 
 

3. キャピタルゲインを狙う方法

キャピタルゲインを狙う秘密の方法は、「不動産市場が落ち込んでいるときに買う」です。過去には平成バブル崩壊、リーマンショック後など、市場が落ち込み不動産の買い手が少なくなった時期は、不動産価格が下がる。現在成功した大家さんや不動産会社の多くは、結局買うタイミングが良かっただけ。市場が落ち込んでいる時期に購入した大家さんは、どんな手法でも利益は出る。いい物件を安くで購入できれば、何年かたって市場が回復したころに、買った値段よりも高くで売却できる。勝ち組大家になるのは簡単。それは「その時期が来るまではちゃんと待てる人になり、その時期までしっかりと不動産について勉強する事」
 
 

4. そもそも赤字になる不動産投資は正解か

サラリーマンの方で不動産投資をされる方には、不動産投資による減価償却やローン金利などの必要経費等で発生した赤字を、自身の給与所得と合算することにより、課税所得を下げて節税をするという方法があるようですが、そもそも赤字になってしまうような不動産投資がいいのかという根本的な問題がある。普通の所得の人が、税金が戻ってくることを目的に、赤字になる不動産投資をすることは、そもそも間違っているし危険すぎるので、そのような物件には絶対に手を出さないようにする。
 
 

5. ローンを組むときは変動か固定か

不動産投資の場合、住宅ローンよりも金利は高くなるが、変動金利の方が固定金利よりも低いという事は住宅ローンと同じ。「今まで何十年と低金利なんだから、ずっと上がらないでしょう」という楽観的な思惑で金利を選んではいけない。将来の金利の変動は分からないが、確実に言えるのは「インフレになると金利は上がる」ということ。日銀の年間目標インフレ率は2%であり、インフレは意図的に上げる努力をしている。そうなれば金利も将来的には上がる。そうすると「おのずと変動金利ではなく、固定金利を選ぶ」ことになる。
 
 

6. 不動産取得税

不動産を取得すると、原則として60日以内に、土地、家屋の所在地の都道府県税事務所に申告する。その後6ヶ月~1年後に納税通知書が来るので、「忘れたころにくる税金」と言われている。税額は固定資産税評価額に3%を掛ける。
 
 

7. 一棟アパートを購入した際の管理費

一棟アパート購入時の管理費は、業者によってかなり変わってくる。ネットや口コミなどで情報収集し、複数業者に合い見積もりは絶対に出す。また、一棟建物の場合、大規模修繕の費用は自分でプールする必要がある。建物価格の0.5~1%を毎年積み立てるのが目安。PMフィーは賃料の3%~5%程度。これも業者によって異なるため、合い見積もりが重要。
 
 

8. 用語の整理:不動産管理といっても、どの範囲の話をしているのか定義が曖昧だったため、自主的に整理 (この本では管理費はBMのことを言っているような感じ。管理費とは別枠でPMフィーの説明をしている。)

BM(ビルマネジメント):不動産メンテナンスなど。
・ 建物の巡回警備
・ 施設内の衛生管理
・ 共有設備の点検、清掃
・ 防災や消防設備の管理
・ 植栽や美観の管理
・ その他の設備管理(エレベーター、貯水槽・ポンプ、ごみ収集場など)
PM(プロパティマネジメント):入居者への対応やサービスに係るマネジメント
・ 建物の巡回警備、施設内の衛生管理
・ 共有設備の点検、清掃、工事の発注、管理
・ 入居者のクレーム対応
・ 入居希望者への案内
・ 賃料の回収、滞納督促、賃貸契約業務(新規契約、退去、更新)
 
 

9. ほとんどの成功大家は1件目は失敗している

今まで出会ってきた大家さんと話をして分かったことは、ほとんどの成功した大家さんは1件目は失敗しているという事。失敗例で一番多いのが、「ワンルームマンション投資をしませんか」という営業で購入してしまったケース。
基本的に営業でやってくるワンルームマンション投資は、サラリーマン向けであり、「毎月のローン返済等費用が〇万円(=毎月〇万円の赤字)で、赤字分は給与所得と合算することで、課税所得が下がって節税になり、ローン完済後は物件が自分のものになり資産になります!というようなもの。
そもそも赤字の物件を買うこと自体が「投資」とは言えないし、入居者が出た際には募集費用、また家賃が下がることで収入は下がるのに支出が増え、物件価格が下がり売却しても赤字になるなど、失敗しかない。
 
 

10. 物件の選び方:初心者はどんな物件を選ぶべきか

全てを学ぶ気持ちで、小さい物件から始める。不動産投資に限らず、初めて何かをトライするときは分からない事ばかり。まずは練習をするつもりで、小さい金額の物件から始めて、「物件選定→賃貸運営→できれば売却」までの一連の流れを経験した後に、大きな物件に進むことが成功への一番の近道。何事も初めは小さく、徐々に大きく。
 
 

11. 初心者が選ぶべき物件は区分所有マンション

投資目的で購入する不動産にはいくつか種類があるが、大きく6つ。区分所有マンション、一棟マンション、一棟アパート、駐車場、事務所ビル、店舗ビル。(※他の著者とはカテゴライズの方法が違うが、正確に理解する。)
この中から初心者が選ぶべき物件は、「区分マンション」。理由は管理が楽だから。毎月、管理費と修繕積立金さえ支払えば、建物に関しては後は何もすることはない。廊下の清掃やゴミ出しもすべてやってもらえる。あなたは貸している部屋のことだけかがえる
 
 

12. 区分所有を選ぶ際にもう1つ大切なこと

区分所有を選ぶ際にもう一つ大切なことは、部屋のタイプです。単身向けの1Kやワンルーム、ファミリー向けの2DK、3LDKといったタイプがありますが、初心者が手を出すのに一番向いているタイプは、1K、ワンルーム。その理由は部屋の広さと賃料の関係にあります。例えば20㎡の1Kを7万円で貸すとする。これが40㎡の2DKになり、広さが2倍になったからと言って、賃料も2倍の14万になるかと言えばそうではない。恐らく10万~12万程度になると思う。賃料効率が良く、退去後の修繕費も低くなることが予想されるため、1K、ワンルームがおすすめ
 
 

13. まずは区分所有マンション(1K or ワンルーム)を現金で購入する

何事も最初は小さく、そして徐々に大きくしているのが成功する第一歩。そして不動産投資のリスクを限りなく小さくすること。その最初のとして、まずは現金で購入すること。不動産の失敗例としては、①退去後に次の入居者が決まらず、賃料が入らないのでローンが払えない、②ローンが払えなくなったため売却したいが、売却してもローン残高よりも安くなってしまい売っても残金支払いが残るので、売却が出来ない、といったもの。
現金で購入すると、それだけで上記の失敗要因はなくなる。「現金を持っていればいいけど、そんなに貯金ない」という人もいると思うが、区分マンションなら、都心周辺でも200万円台の物件もある。仲介手数料等の経費を考えても、300万円ほどの現金があればリスクの低い不動産投資は可能。300万円もないという人は、そもそも不動産投資の前に、300万円を貯めること。身の丈に合わないことはしない。
 
 

14. 表面利回りで最低12%を狙う

なぜ12%なのか。それは経費や税金など、最終的な費用を引いた後に手元に利益を残しやすい利回りだから。表面利回りが12%だとしても、結局実質利回りは2~4%下がる。ただし、利回りが高いという事は、リスクが高いという事なので、表面的な表面利回りだけを見て飛びつかない。きちんとリスク分析と利回り計算を悲観的に見積もる事。
 
 

15. いい管理会社の見つけ方

良い管理会社は、実際のところ口コミや紹介で見つけるのが一番確実。大家さんのコミュニティに入ることで、情報を集められる。Facebookなどで自分の住むエリアに大家コミュニティがないか調べてみる。
例)
・ 築古不動産再生クラブ
・ 最近の不動産投資ってどうよ
・ 極上スイーツで不動産を語る会
 
 

16. 5年後は売却も視野に入れて、インカムゲイン+キャピタルゲインを狙う

なぜ5年後なのか。それは、所有期間に応じて売却益に係る税金が変わるから。
短期譲渡(5年以内):39.63%
長期譲渡(5年以上):20.315%
5年がたったら売却戦略を立ててみて、その金額で納得できるのであれば売って良し、もうすこし利益が欲しければ次期を待つなどの判断をしてみる。
 
 

17. 不動産会社を選ぶ際のチェックポイント1

不動産会社の「宅地建物取引業免許証番号」を確認する。免許番号の()の間に数字があるが、3の場合は過去に2回更新したということ。免許番号の有効期限は5年なので、免許番号が古ければ古いほど信頼できる不動産会社だという事。ただし、新しくできた会社でも親切なところもあれば、古くて上から目線な会社なのもあるので、免許番号だけでは判断できない。実は免許番号を不正取得していることも考えられるので、行政庁に業者名簿を見せてもらったり、「国土交通省ネガティブ情報等検索システム」を見ると、監督処分や罰則などの履歴が確認できる。ただし、多かれ少なかれどの不動産会社もクレームを受けることがあるので、参考程度に確認する。
 
 

18. 不動産会社を選ぶ際のチェックポイント2

不動産会社の選択肢としては大きく4つの選択肢がある。①テレビCMを出しているような大手不動産会社、②地域密着型の地場の不動産会社、③現在取引のある不動産会社、④ネットで検索した不動産会社。どの不動産会社にも長所短所はあるので、どの会社を選ぶかは個人の好みによる。入居募集時などは、「現在の管理会社にまずは専任媒介で3ヶ月頼んでみて、その間に入居者が決まらなければ一般媒介に切り替えて、違う不動産会社にも同時並行で頼む」というような付き合い方をすればいい。
 
 

19. 選んではいけない不動産物件

・新耐震基準前に建てられたマンション:入居はクリアできても、転売時に困ることが多い。1981-1982は注意。
・一部屋が以上に小さいワンルーム:最低でも5坪(16㎡)はないと、入居が決まらない
・賃貸が成り立たない地域に立っている不動産物件

  • 駅から遠い:せめて10分弱
  • 近くにスーパーやコンビニがない
  • 都心まで遠い
  • 供給過剰地域にある物件:エリアの空室率は「見える賃貸経営」で確認できるので参考に
  • 事故物件は何としても避ける

 
 

20. 不動産会社を選ぶ際のチェックポイント

不動産会社の「宅地建物取引業免許証番号」を確認する。免許番号の()の間に数字があるが、3の場合は過去に2回更新したということ。免許番号の有効期限は5年なので、免許番号が古ければ古いほど信頼できる不動産会社だという事。ただし、新しくできた会社でも親切なところもあれば、古くて上から目線な会社なのもあるので、免許番号だけでは判断できない。実は免許番号を不正取得していることも考えられるので、行政庁に業者名簿を見せてもらったり、「国土交通省ネガティブ情報等検索システム」を見ると、監督処分や罰則などの履歴が確認できる。ただし、多かれ少なかれどの不動産会社もクレームを受けることがあるので、参考程度に確認する。
 
 

21. B級地域を狙う

都心の一等地などは値段が高く、利回りが低い。しかしそこから少しだけずれたB級地域は値段もリーズナブルで利回りも得やすく、空室率も比較的低い。
1. 複数路線が交差している駅:例 立川:新宿等に比べると賃料が安いが、物件がそもそも安いので利益が出る
2. 土地区画整理事業や市街地開発事業が行われる駅:昔の川崎駅や六本木ヒルズは、昔はパッとしなかったが、市街地開発事業により町の格が上がった。市街地開発事業はネットで計画などが確認できる
3. 大潟商業施設が将来できる予定の駅:「RealID」などで確認可能。武蔵小金井も駅前の商業施設で生まれ変わった。
 
 
 
 

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