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【感想_0004】『はじめての不動産投資 成功法則』/ 藤原正明

本のタイトル:はじめての不動産投資 成功法則

 
 
 
 

著者の紹介:

藤原正明:
1980年生まれ。三井不動産レジデンシャル株式会社で分譲マンション開発に携わり、その後関東圏の不動産会社で収益性不動産の売買・管理の実務経験を積む。
2013年に大和財託株式会社を設立。不動産投資・資産運用コンサルティング、収益不動産の設計・建築、収益不動産の企画・開発・販売、収益不動産のリフォーム・リノベーション、不動産管理、保険代理店業務などを、トータルで提供し、売上高105億円、従業員数102名を有する、企業の代表取締役。
 
 
 
 

本の全体像:

先週紹介した同著者の「収益性と節税を最大化させる不動産投資の成功法則」の出版が2021年なのに対し、本書は2014年に出版されており、著者が2014年時点で不動産投資に対してどのような考えを持っているのかを記載している。
本の構造としては、先週の本の2014年版という印象で、本の構造や記載内容に大きく違いはない。(約85%は同じ内容)
今回のブックレビューでは、先週の本と重複する箇所がほとんどであるため、先週と重複するTakeawayは◎、本著のみに記載してある項目は★をつけて記載する。
 
 
 
 

Takeaways:

1. ◎不動産投資の利益の出し方は2つ

1. キャピタルゲイン:購入した不動産を、購入時よりも高値で売却し利益を得る方法
2. インカムゲイン:購入した不動産を、他人に貸すことで賃料収入を得る方法
 
 
 
 

2. ★違法物件でもいい投資であれば買う

1. 関西地域に多いが、昭和後期から平成初期にかけて建築された建物は、当時の手続きの抜け穴をついた違法建築物が多く存在し、利回りが12%~13%のものが多くある。東京の場合、違法建築に融資を出す金融機関は少ないが、関西に限った話でいうと融資を受けることが可能。
2. 又違法建築物を購入すると、個人の信用棄損になり、追加の融資を受けられなくなるという話もあるが、噂に過ぎず、現に著者もいくつか違法建築物を所有しており、その後の追加融資も受けることができている。
 
 
 
 

3. ◎他の投資との違い

1. 株式投資
i. 経済動向や社会情勢に左右されるため、常にマーケットを監視し、売買を繰り返す必要がある
ii. 基本的には現物(レバレッジなし)の取引。空売りの取引(信用取引)も可能。
 
 
2. FX・先物
i. 信用取引で、手持ち資金の10倍などのレバレッジをかけて取引が可能であるため、未来を予測することができれば、現物取引よりも利益を得ることができる。
ii. 反対に読みが外れれば、手持ち資金の10倍などの損が発生し、基本的には証券会社が設定したラインまで手持ち資金が下がると、追加の資金を入金するまで資金がロックされる追証(=マージンコール)が発生し、借金を負うことになる。
iii. 秒単位での取引なので、株式投資よりもハードルが高く、プロでも勝てない。勝率は50%。つまりギャンブルと同じ。
 
 
3. REIT
i. 投資家から資金を募り、その資金を基に不動産を運用し、賃料収入や売却益をえて分配する投資
ii. 上場企業が行うため、企業の株価により毎日REIT価格が変動。
iii. 利回りは平均4%ほど。100万円を運用した場合、年間平均4万円の利益となる。
iv. 多額の現預金を持つ資産家が運用する場合は有効
 
 
4. 不動産投資
i. 上記3つの投資とは違い、他人の資本(=銀行の融資)が使える唯一の投資であり、融資を受け購入した物件が担保になっているため、適切な物件選定が出来れば、売却を行い負債の返済に充てることが可能。
ii. 購入からその後の運用まで、各分野のプロに任せることができる体制を構築可能。
 
 
 
 

4. ◎不動産のメリット

1. 他の投資と異なり、売買を繰り返さなくても毎月収入が得られる
2. 購入時の借り入れが可能
3. 他の投資と異なり、投資家の工夫次第で収益性を高められる(リフォームによる家賃上昇・また家賃上昇による物件価格そのものの評価額の上昇)
4. 大きな節税効果
5. 管理運営を任せられる体制がある
 
 
 
 

5. ◎不動産のデメリット

1. 様々なリスク 例:空室リスク、滞納リスク、火災リスク、地震リスク、金利上昇リスク、事故リスク、損害賠償リスクなど→しかし、各リスクには対処法がある
i. 空室リスク → ➀物件購入前の周辺地域の需給バランスの調査 ②入居に強い管理会社と連携
ii. 滞納リスク → ➀保証会社 ②DM→書面督促→支払電話→直接訪問(ビビらせる)
iii. 火災/地震/災害リスク → 保険あり
iv. 金利上昇リスク → ➀自己資本比率を上げ、借入金の比率を下げる ②固定金利の選択
v. 事故リスク → 保険あり
vi. 損害賠償リスク → 保険あり
 
 
2. 不動産価値の目減り(キャピタルロス)
i. 不動産価格は「収益価格」と「積算価格」の2つの要素で決まる(後で説明)
ii. 基本的に不動産価格は築年数の経過と共に下がるが、不動産価格下落スピードが借入返済スピードよりも速い場合、不動産売却時に安い価格でしか売れず、借入残高の一括返済ができない事態が起こる。
iii. 対策は、購入時の物件選定・初期設定を間違わない事しかない
 
 
3. 取引コストが高い
i. 購入時
・ 仲介手数料:物件価格の3%+6万円
・ 登記費用:司法書士報酬、登録免許税
・ 印紙税:売買契約書、金銭消費貸借契約書・領収書
・ 不動産取得税:取引後3~6ヶ月以内に納付
・ 保険料:火災/地震など様々な保険料
・ 融資手数料:金融機関によってばらつきあり
ii. 物件売却時
・ 不動産譲渡所得税(個人所有の場合所有期間によって税率が異なる)
(a) 5年以内に売却 (=短期譲渡):税率39.63%
(b) 5年超で売却 (=長期譲渡):税率 20.315%
 
 
4. 流動性が低い
i. 株式などと違い、即日売却を行い、数日内に現金化などができない
ii. 買取会社の場合2週間、一般買主の場合2~3ヶ月
 
 
 
 

6. ◎収益物件特有の確認事項

1. レントロール:入居者の一覧。賃料、共益費、入居時期など。特に賃料/共益費は、一度退去が発生した際に、同じ価格での入居が可能か、現在の賃料相場と比較して確認が必要
 
 
2. 賃料滞納の有無:滞納者の対応は法律も絡み面倒なので、物件購入後の取り扱いなどを決めておく
i. 前の所有者の賃料債権は放棄し、滞納中の入居者の過去の支払の免除、今後の賃料は確実に払う様に念書を行う
ii. 物件引き渡し前に滞納者の退去を売買条件にする など
 
 
3. 大規模修繕履歴:ポータルに掲載されている表面上利回りが高い物件でも、一切修繕を行っていない物件が多い。大規模修繕は数百万から数千万の費用が掛かる場合もある。事前把握で投資判断が可能。
 
 
4. 運営費用:固定資産税・都市計画税、建物管理費・定期清掃、エレベーター点検、ごみ収集費用、など他にもたくさん。運営上発生する費用は抜けもれなく確認
 
 
5. 法定点検実施履歴:消防設備点検、受水槽性総点検など、法律上点検が必要な箇所が点検されていないことがあり、不適格だと罰則が発生。
 
 
6. 敷金返還債務:関東は物件のオーナーが変われば、借主から預かった敷金も新しい所有者に引き継ぐが、関西圏では敷金返還債務を承知の上で売買合意があったものとみなすので、敷金返還を負担する必要がある。
 
 
7. ペットの飼育履歴:ペット可能にすることは空室対策にも有利。しかしリフォーム費用が余計に掛かる
 
 
8. 外国人入居者の有無:退去届を出さずに無断退去、残置物処理など全額負担の可能性あり
 
 
 
 

7. ◎指標

1. 表面利回り(%) = 年間満室想定賃料 ÷ 物件金額
i. 保有期間中に年間を通じて満室は維持できない。使えない数字。
 
 
2. 実行総収入 = 年間満室想定賃料 ÷ 空室/滞納損失
i. 物件にもよるが新築なら年間満室想定賃料の2-5%、中古なら5-10%が目安
 
 
3. 純営業利益(NOI):実行総収入 – 運営費用
i. 5.4に記載したような運営費用を引く。物件そのものの収益率を確認できる。
 
 
4. 税引き前CF:NOI – 元利返済金
 
 
5. 税引き後CF:税引き前CF ー 各種税金
 
 
6. 総収益率(FCR: Free and Clear Return):NOI ÷ (物件金額 + 購入諸費用)
i. 一番厳しい条件で導き出された物件購入に係る利回りが分かる
ii. 同じ表面利回りでも、FCRで比較すれば利回りが違うことが分かる(例を見せる)
 
 
 
 

8. ◎★どの物件がベストなのか

1. 物件の種類
i. 新築区分・ワンルーム
ii. 中古区分・ワンルーム
iii. 新築一棟アパート・マンション
iv. 中古一棟アパート・マンション
 
 
2. 結論は、上記アンダーラインの物件。
 
 
3. 新築ワンルーム、中古ワンルームはなぜダメなのか。(本文確認)
 
 
4. 新築一棟アパート・マンション、中古一棟アパート・マンションがなぜ良いのか。(本文確認)
 
 
5. ★本書では「新築一棟」はおすすめできないと記載がある。理由は、①最初の入居者退去後に、家賃が10~20%落ちるから(新築プレミア)、②業者によっては新築時の入居賃料を相場以上に釣り上げており、一度退去が出ると家賃が20%以上下落するリスクがある、③新築プレミアがなくなることで、家賃収入が低下するとともに、不動産価格の低下も同時に引き起こす。
 
 
6. ★おすすめは「中古一棟」のみ。理由は、①既に賃料が下がった状態で、大幅な賃料下落はしにくい傾向、②新築に比べ負担の大きさが心配される修繕費も、購入前の修繕履歴を確認にコストを見積もることでリスク回避可能、③新築・中古区分と比較しても空室リスクがなく、リフォームの自由度も高い、④新築一棟よりも新築よりも法定耐用年数(減価償却に掛ける年数とイコール)が短く、建物価格に対する減価償却額を多く確保することができるため、節税にも一番向いている
 
 
 
 

9. ◎個人保有・法人保有の納税額(給与所得と不動産所得を合わせた合計課税所得2000万円の場合) P154

1. 個人保有例
i. 2000万×50%(所得税+住民税の割合) – 279.6万(基礎控除) = 720.4万
 
 
2. 法人保有例
i. 400万×22.04% + 400万×23.91% + 1200万×34.59% = 598.88万
 
 
3. ただし、一概に法人保有がいいとは言えない。法人・個人ともに、節税できるスキームあり。これはもっと確認する必要あり。P155~P176
 
 
4. ★個人で収益物件を所有していても、法人を設立し、その方自身が代表の法人に賃貸管理を任せて、一括借り上げ(サブリース)をする仕組みを作ることで、個人の不動産所得を法人に一部分けることができるため、トータルで節税することができるという方法もある。
 
 
 
 

10. ◎そもそもの話だが、人生設計に基づいた不動産ポートフォリオを描く必要あり

1. 不動産投資はあくまでも「手段」であり、それによって生み出した利益で何がしたいのか「目的」が必須。目的があり、それに必要な金額が分かる。その金額によってポートフォリオが変わり、そもそも不動産投資で良いのかという事も考えられる。
2. いつまでに、何がしたいから、いくら必要なのか、そのためにはどの投資に、どれくらいの資産を分配し、いつまでに達成可能なのか
 
 
 
 

11. ◎不動産投資は融資が全て

1. 全額自己資金で購入できる人は別として、普通は融資を受けなければ不動産は変えない。
 
 
2. 反対に、融資が受けられなければそれほど魅力的な投資ではない。借入によるレバレッジを聞かせて、自己資金以上の利益を生むことができる点が一番の理由
 
 
 
 

12. ◎融資の種類は大きく2つ P203

1. パッケージ型アパートローン:年収及び既存借入金に影響
i. オリックス銀行、静岡銀行、SBJ銀行、スルガ銀行など
ii. 例) 融資限度額 = (年収×年間満室想定賃料×72%)×8 ※年収1000万で1億2320万
 
 
2. オーダーメイド型プロパーローン:購入者、物件をそれぞれ評価したうえで額を決める。融資条件が決まっているわけではない。
i. 都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合
 
 
 
 

13. ◎融資面でも法人は有利

1. 資産規模を拡大しようとすれば、融資限度の無い融資が必要になってくるが(基本は融資限度額があるため、ある程度融資を受けたら、融資限度額をすべて使ってしまい融資が受けられなくなる)、融資限度の無い融資は法人向けが原則。
 
 
 
 

14. ★融資を受けやすい人、受けにくい人の共通点

1. 結論、自己資金を蓄えている人。お金をためている人という事は計画性のある人であり、返済も滞りなくしてくれるという評価につながるため。
 
 
2. どのくらい自己資金が必要かと言えば、最低500万以上、物件価格1割以上。
 
 
 
 

15. ◎賃貸管理の方法は「一般管理」と「サブリース」の2つ

1. 一般管理:普通の管理会社。管理手数料は賃料の3~5%・
 
 
2. サブリース:事業者が物件を一括で借り上げ、賃貸管理を引き受け、賃料収入を保証する
i. 手数料は賃料収入の10~20%
ii. 共益費は全てサブリースが受け取る
iii. 賃料収入保証は必ず減額請求がある
 
 
 
 

16. ◎一般管理には「仲介管理混在型」と「管理専業型」の2つ

1. 仲介管理混在型:賃貸仲介業務と管理業務をどちらも行う
i. 物件オーナーと入居者の中間に立つため、利益相反の関係。(アメリカでは違法。裁判でいえば、原告と被告の両方の弁護士が同じ状態)
ii. 入居者からの仲介手数料も得たいと考えるため、同業他社に物件を紹介するインセンティブが低く、入居が決まりづらい場合もある。
 
 
2. 管理専業型:仲介店舗を構えず、物件エリアの広域の全ての仲介会社に物件情報を流通させるため、入居者が決まりやすい
 
 
3. 管理専業型の方が良いが、都市部では専業型、地方では仲介混在型になる場合が多い。(業者数が少ないから)
 
 
 
 

17. ◎「売って終わり」の会社からは絶対に買わない

1. 収益物件の売買のみを行う不動産会社は、基本的に物件販売後に管理業務を自社では行わない。取引のある管理会社の紹介はするが、極論、販売した物件が収益を生み出そうが赤字だろうが関係ない。
 
 
2. そのような会社は完全歩合制の古コミッションの場合が多く、担当者は自分の給料を稼ぐために不利な条件でも言葉巧みに売るというインセンティブが働く。
 
 
3. 一方、売買だけでなく、販売後の入居者募集や物件管理も行う不動産会社の場合、ダメな物件(=購入後の賃貸経営が難しい物件)を勧めると、入居者募集で苦労するのも会社側なので、自分の首を絞めることになる。
 
 
 
 

18. ◎信頼できる不動産会社(パートナー)の選び方チェックリスト

1. 収益物件の売買取引を頻繁に行っているか
→不動産投資や賃貸経営に関する知識が浅い可能性あり
 
 
2. 物件の詳細を理解しているか
→レントロールの信ぴょう性や、入居者、物件状況などを理解しているか。実例では、ある不動産会社から物件購入後、1か月内に3室の退去があったが、レントロールを確認すると、その退去者は直近1年以内に入居していた。恐らく、前の所有者(不動産会社)が知り合いに頼んで一時的にその物件に入居してもらい満室物件という事にして(不動産価値上昇で販売価格上昇/投資家が安心するなどの理由)、販売後に一気に退去させた可能性が考えられる。
 
 
3. 物件周辺の土地勘があるか
→地域によって賃料相場や需給バランスが異なる。ヤバイ土地とかもある。
 
 
4. 物件周辺の賃貸事情を把握しているか
 →賃貸管理をしていないと、本当の賃料相場は把握できない
 
 
5. 融資の知識が豊富で、金融機関の紹介をしてくれるか
 →融資は知らない人が銀行に行っても貸してはくれない。基本は紹介。
 
 
6. 購入後の賃貸管理についてのサポートがあるか
 →前述の通り
 
 
7. 不動産会社(または営業担当)が収益物件を持っているか、また、賃貸経営で一定の成果を出しているか
 →自分で不動産投資の経験がないのに、投資家と同じ目線で物件の購入から運用までのアドバイスはできない
 
 
8. 税務知識が豊富化
 →いろんな税金あるから
 
 
9. 不動産ポートフォリオ、出口戦略まで含めたうえで、物件を紹介しているか
 →収益物件は1棟を買って終わりではなく、2棟目、3棟目の買い増し、組み合わせ、売却等を合わせて、目標の投資規模やキャッシュフローの達成を目指すもの。将来のビジョンを共有している必要がある。
 
 
 
 

19. ★土地・建物比率の重要性

1. 不動産投資を行う大きなメリットの一つは、減価償却を活用した節税ができる点。仮に総額1億円の物件の土地・建物比率が5:5の場合、土地が5,000万、建物が5,000万という割合になる。そのうち、減価償却は建物のみに適用されるため、建物の価格5,000万円を法定耐用年数に応じて償却していく。
 
 
2. ところが相談に来る人が購入した物件の中には、土地の割合が高めに設定されているケースがよく見受けられる。売主が消費税課税事業者の場合、建物の売却金額に対して消費税が加算されるため、建物比率をできる限り抑えたほうが得になるからだ。土地・建物比率の重要性を理解していない不動産業者の場合、売主に有利な条件で契約がなされていることに気付いていないことも多い。一般絨毯の販売経験は豊富でも、収益物件についてはよく理解していないことが多いから。
 
 
3. 一般的には固定資産税評価額の割合で土地・建物の比率を決めるようですが、工夫次第で減価償却資産である建物の割合を高めることも可能。
 
 
 
 

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