本のタイトル:Influence
著者の紹介:
Robert B. Caldini
1945年生まれ。Psychologist. Arizona State UniversityのPsychology and marketingの名誉教授。1991年に本書Influenceを出版し、世界的ベストセラーに。
Takeaways:
1. Example:
I. インターホンが鳴ったのでドアを開けます。身なりのしっかりしたスーツを着た男性が掃除機を持って立っていました。
元気のいい声で、「こんにちは、私は蔵田と申しまして、株式会社Vacuum-plusのシニアアソシエイトをやっております」と軽く自己紹介し、名刺を差し出してきました。
「この掃除の紹介をさせていただきたいのですが、3分ほどお時間頂けないでしょうか?」と言ったので、まあ3分くらいいいかと思い承諾します。
玄関に少し入り、掃除機の用意をしている際に、「キレイな玄関ですね。インテリアも素敵で、すごくセンスがいい感じがします。私もこれに似たインテリアを玄関に置いているんですよ!」とあなたの玄関やインテリアを褒めてきました。
軽いチャットの後に掃除機を見せてきました。そして「実はこちらのアパートで既に4人のお客様がこちらの掃除機をご購入されたんですよ。」と説明して、いくつかの細かな機能を紹介してきました。
説明の後に、「今週末こちらを無料でお貸ししますので、あと追加で掃除用のクリーナーと仕上げ用のコーティングスプレーも無料でお貸ししますので、一度試してみてください。」と提案してきて、まあいいかと思い掃除機を置いてその日は帰ってもらいました。
週末後の月曜日、蔵田が「掃除機を受け取りに来ました!」と尋ねてきました。そして、「実は週末の内に私が担当している在庫が全て売れてしまって、こちらにお貸ししていた掃除機が最後の1個になってしまうくらい売れ行きがいいんですよ!」と言ってきました。
II. このストーリーの最初の内は、掃除機が欲しかったわけでもないのに、なぜか欲しい気持ちが生まれていないだろうか。それはなぜか。
2. 6 powerful persuasion tactics that salespeople and fundraisers use. (S.S.A.L.E.E)
I. Scarcity (希少性)
II. Social Proof (社会的証明)
III. Authority (権威)
IV. Liking (好意)
V. Escalating Commitment (コミットメント)
VI. Exchange (=Reciprocation) (返報性)
3. Scarcity (希少性)
著者はArizona State Universityで心理学の教授をしているが、生徒のうち精肉会社を運営している生徒がいた。その生徒が教授の心理学の授業で学んだ上記6つの法則を応用して、下記のセールスを行ったところ、顕著な違いがあったことを報告してきた。
セールス1:一般的な商品説明
セールス2:一般的な商品説明 + 牛肉の供給不足が発生する事が予測される旨の記述
生徒の報告では、セールス2を使った牛肉の卸供給を行った際に、通常の600%(6倍)の売上が発生したとの事だった。
Scarcityの例
- 残り在庫数を表示する (Amazon)
- 残りの販売座席数を表示する (エアライン会社)
- セールのカウントダウンタイマーを表示する (アプリや期間限定セールなど)
4. Social Proof (社会的証明)
コロンビア大学の研究で、教室で1人きりで生徒にテストを受けさせた。テストの最中に、教室に煙を少しずつ入れたところ、75%の確率で、生徒は煙に関してテスト中に報告してきた。
次は1人きりではなく、仕掛けの2人の生徒(煙に反応しないように伝えている)を追加し、合計3人で同じくテストを受けさせ、テスト中に教室内に煙を少しずつ入れたところ、10%の生徒のみがテスト中に煙について報告してきた。
本研究より、人間は不確定の事象が発生した場合、自分以外の人間がどのように行動するのかを観察しており、それによって自身の行動を決めているという事が証明された。
Social Proofの例
- 商品を購入する際にレビューを見てから買う
- Door-to-Door sales peopleが近所の購入者について言及する
- 本のラベルに書かれている著名人の本に対するコメント
5. Authority (権威)
北米の研究で、21の病院に対し、使用許可が下りていない薬を、特定の患者に対し使用する旨の電話を行った。各病院の看護師は電話してきた男性を知らないが、男性は「○○医療法人の○○医師です。」と説明した。その結果、95%の看護師がその指示に従ったという結果が出た。
Authorityの例
- 子供は親や先生の言うことを聞き、大人は自分より権威の高い人間のいう事を聞く傾向がある (Sales peopleや会社が役職を述べるのはこのため)
- ビジネススーツ、所有物など (テキサスでの研究で、スーツを着ている男性はそうでない男性に比べ、横断歩道で道を歩いている際に、道を譲ってもらえる確率が3倍上がった)
6. Liking (好意)
1970年に、心理学者が大学のキャンパス内で、電話を掛けるために10セントを借りてもいいか、キャンパス内の学生に質問する実験を行った。その際に、一般的な服装とヒッピースタイルの服装の2種類の服装に分けて実験を行った。似たような服装をした学生に対して質問を行った場合、そうでない学生に質問した時に比べ、10セントを貸してくれる割合が20%上昇した。
そのほかの数多くの実験においても、自分自身と同じタイプの他人から、何か頼まれごとをされた際には、その依頼を引き受けやすいという実験結果が証明されている。
Liking (好意)の例
- Sales peopleが購入者との共通点を見つけて話題にする
7. Escalating Commitment (コミットメントを促す)
コーヒーショップでの実験で、1人でコーヒーを飲んでいる人に対し、「トイレに行くので自分の荷物を見ていてくれないか」と依頼をする。その間にその荷物を泥棒が盗もうと試みた場合、頼まれずに荷物が盗まれるのに比べて、5倍以上の確率で泥棒を捕まえようとするという事が分かった。
この実験結果は、何か物事にコミットするよう促された場合、それを守ろうとする(consistency)傾向が生まれることの証明となった。
Escalating Commitmentの例
- サブスクリプションサービスで、初めの3ヶ月は毎月100円の会費のみで入会させる(3ヶ月後に980円になるとしても、多くの場合980円でも継続する)
- オンラインコースの10クラスの内、初めの1クラスを無料で公開する (最初の無料のクラスを受講した場合、多くの生徒が残りの9回のクラス3万円を購入する。※初めから10コースで3万円と同じ)
8. Exchange (reciprocity) (返報性)
コストコなどのスーパーで食品のサンプルを無料で配る場合、無料サンプルを受け取った顧客は、その商品を購入しやすいことが実験結果で判明している。(その場で購入しますと伝えるだけではなく、後日商品を見た際に、一度食べたことがあるため同商品に手を伸ばしやすい)
人間は何か無料で物を受け取った場合、お返しをしなければならないとい義務感にも似た感情を持つ。
Exchange (reciprocity) (返報性)の例
- 車の修理でディーラーに依頼した場合、次回車を買うときにそのディーラーで車を購入しやすい
- 近所の人からおすそ分けをいただいた場合、後日お返しをしたくなる
- ダミーテキスト
9. 6つのGolden Rulesの共通点
上記で紹介したルールの共通点をまとめると、「Do unto others as you would have them to unto you (自分がしてもらいたいことを、他人にもしなさい)」という結論にまとまる。
10. その他のルール
I. 人は値段が高いものを「良いもの」と認識する傾向がある
(a) お土産屋で$10で売っていたターコイズを、間違えて$20と表示してしまったが、売上が通常の数倍になった。これは人は値段が高いものは良いものと認識するため。
II. どんな種類の交渉時も、目標の依頼よりも高度な依頼を先にする
(a) 金額の交渉の場合:目標$500で売りたい場合、初めは$1,000で依頼する。成功すればラッキーくらいに捉え、値段を下げて$600で限界だと言い、相手からの最後の一押して$500に下がっても、元々$500で売ることが目標なので、目標達成。
(b) 待ち合わせ場所の交渉の場合:目標は全員の中間点で合流したい場合、初めは自分が一番行きやすく楽な場所を指定する。そのあとに少しずつ中間地点にずらし、妥協点として中間点でdealする。元々中間点で合流できれば良いと思っているので、目標達成。