読書(学ぶ)

【感想_0002】『運を支配する』/ 桜井章一 藤田晋

本のタイトル:運を支配する



 
 
 
 

著者の紹介:

桜井章一:
1943年生まれ。プロ麻雀棋士。大学時代に麻雀を始め、引退するまで20年間無敗。引退後は麻雀を通して人としての道を指導する「雀鬼会」を設立。

藤田晋:
サイバーエージェント代表取締役社長。26歳で東証マザーズに上場後、2014年に東証一部に上場。2023年現在で時価総額4,537億円の企業に成長。また社長業以外にも、大学生時代から麻雀にハマり、「雀鬼会」にも参加経験あり。2014年にプロ麻雀棋士が参加する大会にて優勝し「麻雀最強位」のタイトルを獲得。日本長者番付2021年に33位にランクイン。資産額1,994億円。
 
 
 
 

本の全体像:

麻雀の世界で20年間無敗の実績を持つ桜井氏と、日本を代表するIT企業の1つを作り上げた藤田氏、かつて「雀鬼会」の中で師匠と弟子だった二人が、共に異なる勝負の世界に身を置き培ってきた、運や勝負への向き合い方に関する哲学を、2人それぞれの切り口から解説している。

また、「運を支配する」よりは、内側に目を向けて、心の在り方や運との向き合い方を正すことで、
「運がその人を選ぶ(=運が自分にたどり着くための道筋を整える)」という、水の流れを整備する方法のような内容が記載されている。

  • 1章:ツキを整える
  • 2章:運をつかむ人の習慣
  • 3章:悪い流れを絶つ
  • 4章:ツキを持続させる
  • 5章:運をまねく作法

 
 
 
 

本の中で最重要だと思うポイント3つ:

  • 負けの99%は自滅。
  • 直感の9割は正しい。
  • 不調こそ、我が実力。

 
 
 
 

自分に応用できること:

  • 不調な時が自分の実力の基準であるという事を理解する。
  • 直感は正しいと理解しているが、更に本の情報で考えを補強。左脳的な分析や推論は行い、最後に直感を信じ抜くことができるかどうかで、決断する。逆に迷ったら決断はしない。

 
 
 
 

Takeaways:

1. 勝負は複雑にすると負ける。ビギナーズラックという現象は、初心者は知識も少なく、欲を出して深追いしないからいい結果が出せる。ただし知識が増えていくと選択肢が増え、沃野恐れや迷いに繋がり、判断を誤る。結局はシンプルに考え、シンプルに行動するのが一番強い。
 
 
 
 
2. 自分のタイミングで勝負しない。勝負所が来る前に勝負をすれば、本当の勝負所で動けない。同僚の活躍、友人やTVに刺激を受けた、などの勝負が来たわけでもないのに、勝手な主観で勝負に出る(功を焦る)と、結局そういう人は自滅する。焦ったり、不安に駆られて無理をしたりせず、「その時」が来るまで、仕事の質を落とさない様に耐える。仕事をしている時間の大半が「耐えている時間」。
 
 
 
 
3. 負けの99%は自滅である。「勝ち」を求める思考や行動に囚われて、焦りや緊張、不安や迷いを生じさせ、ちょっとのミスで体勢を崩して沈んでいく。結局「負け」は自分で引き寄せている。たくさんいた同世代のライバル経営者たちは、僕が抜いたのではなく、勝手に落ちていっただけ。
 
 
 
 
4. 順風の中で危機感を抱けるか。サイバーエージェントでは、業績が悪くなくても、わざと部署の人数を半分にしたり、大胆な人事異動で意図的に部署をかき乱したりします。人数が減ったり、キーマンが抜けたりして、危機的状況になると、たいてい最初は強い反発があります。しかし結果的にはそのおかげで組織内での危機感が芽生え、逆境を乗り越えて、さらに強い組織になることがほとんどです。人間の能力は、夢や希望に燃えている時や安心の中ではなく、むしろ逆で危機的な状況に追い込まれるときに100%の能力を発揮します。
 
 
 
 
5. 見切りには予めルールを作っておく。会社をつぶす原因の多くは「見切りの悪さ」。逆に言えば見切る事さえできていれば、会社はなかなかつぶれない。前もって撤退のルールを作っておけば、判断の難しい状況においても、感情を配した基準を基に判断ができる。
 
 
 
 
6. ものすごく運がいい人が続けていること。出発点で同レベルのAとBがいる。Aは正しい選択と努力をし、Bは間違った選択をする。結果AはBと少し差をつける。しかし、初めは小さい舞台での勝負が、勝者には大きな舞台が次々と用意されていく。そこで毎回「正しい選択」と「努力」をする。結局Aはものすごく遠くへ進み、Bはどうやってそこに行きついたのか見当がつかず、「ものすごく運がいい人」としかとらえられない。そしてBは今度は一発逆転の大勝ちを狙い、大体自爆する。「正しい選択」と「正しい努力」を続けていけば、運は複利の様に積み上がり、結局はどれだけ続けているかが運の総量を決める。
 
 
 
 
7. 違和感のあるものは外す。「運がいいな」と感じているときに、「ああ、気分が悪い」と思う人はいないはず。それは逆も同じ。「気分がいいと運が来る」。
 
 
 
 
8. ★直観の9割は正しい。人の世界は「目に見える世界」と「目に見えない世界」の2つで成り立っている。氷山と同じで、目に見えない部分の方が、目に見える部分よりもはるかに大きい。目に見えないものはどうせ分からないから、見えている部分だけを合理的に計算していけば十分と考えている人は、氷山に衝突する船の様にどこかで必ず躓く。目に見えない世界は、理性、分析、計算、推論(左脳)などではなく、感覚(右脳)でとらえる以外アプローチできない。現代での知識や情報に価値を置く社会においては、上記のようなものが重要視され、本能的な感覚は下に置かれる。直観を鋭くするには、上記のような考えをあえて捨てることが必要。またこの直観は邪念が入ると狂う。麻雀もビジネスも、直観だけでやれるものではないが、邪念を取り払ったうえで、左脳の分析を基に右脳とキャッチボールをして、最後はやはり最初の直観を信じ切れるかどうか。
 
 
 
 
9. 走りながら次の矢を放つ人だけが勝ち続けられる。ツキのない局面では、一矢を放ってもそれだけで急に流れが変わりツキ始めることはなかなかない。弱い人はそこで諦めて相手に背中を向けるような勝負をする。しかし一矢で状況が変わらないことをしている人は、二の矢、三の矢を放ち続ける。途絶えることのない果敢な攻めは、やがて強さに代わりツキを呼ぶ流れに代わる。
 
 
 
 
10. 雑用を軽んじると運から見放される。知り合いのCEOから「仕事の7割が雑用です」という愚痴っぽい話を聞いた際に、「それは良いじゃないですか」と返したら驚いていた。雑用は「雑」に扱うものではなく、仕事の「基礎」であり、「現場」そのもののことを指す。仕事から雑用をなくせば、仕事は成り立たない。雑用を雑にこなしたり、他人任せにしたりすると、それを見て人は「小さい仕事は任せにくいな」「詰めが甘そう」とかんじ、その結果ツキを逃す。
 
 
 
 
11. 開き直ると仕事も運も失う。以前出資をしてくれたUSENの宇野社長に「馬とフェラーリは買うなよ」と言われた。それらを買った人はたいがい事業に失敗しているという。実際にライブドアの堀江さんを始め、馬やフェラーリを買った経営者の何人かを知っていますが、気味が悪いくらい失脚の経験をした人が多い。一度サイバーの赤字が続き、世間からも叩かれていた一番苦しい時期に「もうどうせ叩かれているんだし、開き直ってフェラーリに乗ってもいいですよね」と先輩経営者に冗談っぽく言ったら、突然表情を変えて「藤田君、開き直ったら終わりだよ」と厳しい口調で言われた。じっと耐えている時期に自暴自棄になったらすべてが台無しになるという事だと思う。
 
 
 
 
12. ポジティブ思考は成長を妨げる。私は初対面の人に「ポジティブ思考なんでしょ?」と言われたことがある。私はポジティブであろうと意識もしないし、逆にネガティブにとらえるわけでもない。その時々の自然な感情に身を任せればいいやという姿勢。「ポジティブに切り替えないと」と思うと負荷がかかる。行き過ぎたポジティブ思考は「暗い私」は本来の自分ではなく、本当の姿は「明るい私」だと思い込み、「暗い私」を排除すべきと考えてしまう。絶えないポジティブ思考は、「空は毎日爽やかに晴れていなければならない」と言っているようなもの。人の心も天気と同じで刻々と変化する。その自然な変化を素直に受け入れることが心に負荷をかけない生き方。
 
 
 
 
13. 心の“いい揺れ”を意識する。私はサインには「揺れない心」と書くことが多い。正確に言えば、生きている人間で揺れない心などありえない。全く揺れない心を持っているのは死人だけだ。人の心は絶え間なく動く。問題は“いい揺れ方”をするか。感情に曇りがなく、穏やかな気分でいるときなど、いい動き、いい揺れ方こそが「揺れない心」。揺れない心のイメージは、風で葉や枝を揺らしながら、太い幹は動かない木のようなもの。人を評して「ブレている」「ブレていない」というが、「ブレている」とはいい揺れから外れた状態。
 
 
 
 
14. 満足したらそこで終わる。うちの会社は上場した際、祝賀パーティーをやりませんでした。大きなプロジェクトが成功した後でも、慰労会や打ち上げを開いたことはありません。僕個人としては、そういう区切りをつけるためのパーティーや宴会が正直あまり好きではない。そこで満足したら終わりという思いがあるから。
 
 
 
 
15. ミスへの対処が正しければツキは戻る。ミスをしたときは、事実から目をそらさず、言い訳や言い逃れはしない。ただし、勝負の中で、必要以上に悔いたり、非難することは、ミスの傷口を広げることになるからやらない。自分の犯した水に引きずられ、そのままずるずる負けてしまうことがある。自滅するパターンだ。私は勝負でミスをした場合、「まずい、ダメだ」とは思わずに、「ミスっちゃったよ。こういうことやっちゃうんだな。」と、ミスをしたことをどこか楽しむような余裕をもって傷口を広げるのを防ぎ、すぐに勝負に戻る。
 
 
 
 
16. ★不調こそ、我が実力。バブル以降の日本を「失われた20年」と評する専門家がいる。それはバブル景気という幻想に乗っていたころを基準に日本経済を見ているからだ。そもそも幻想を基準にすること自体が間違っている。人も人生において同じ思考をする。「あの時は楽しかった」「あの時はあんなにモテた」など、調子がいいと「これが元々の自分の実力なんだ」と思いあがるのに、逆に調子が悪いと「いや、これは本来の自分の姿ではない」と素直にその事実に向き合わない。調子がいいときはたまたまかもしれないのに「実力」だと思い込み、悪いときは「たまたま」と捉える。私は「不調こそ、我が実力:と思うようにしている。そうすれば調子のいいときに浮足立つことなく、また調子の悪いときでも余裕が生まれる。
 
 
 
 

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